「だって……訊いちゃ……」
駄目だと思うから…、と小さく呟いた雅が、再び目を逸らせた。
「……ごめん、雅ちゃん、ごめんね、そんな顔、しないで」
意を決したように、指を伸ばす。
その指先を避けるように俯いた雅が、シンクを背に、鷹野に向き合った。
「ごめんなさい、別に、構わないんです。ただちょっと、寂しかった…ような気がしただけ」
遠慮がちに顔を上げた雅の頬を、両手で包み込む。
「俺…」
「ごめんなさい、なんでも…ない…ん、ですけど…」
かすかに微笑んだ雅は、自分の顔を包む鷹野の手に、触れた。
「…ほんと…ごめんなさい、あたし、関係ないのに…苦しい…から…」
早くこの匂い、消してください…
「……っ!!」
「…ごめんなさい! ごめんなさい…鷹野さん、違うの!」
弾かれたように引かれた手を、慌てて掴み、雅はひどく困惑した目で、真っ直ぐに鷹野を見上げた。

