「凱司さんは、3時頃出かけたきり。宇田川さんと一緒と思うんですけど…」
茶葉を、いつもの梨地のアルミ缶に移してから、お湯を沸かし始めた雅を、やっぱり真っ直ぐには見れなかった。
「……今日は、ロールキャベツ作ったけど…ごはん、食べましたか?」
カウンターの向こうから話し掛ける雅に、無理な笑顔で首を横に振る。
自分でもひどく不自然だとはわかっているが、どうにも、気が滅入った。
「……ごめん、先にシャワー浴びてくる」
「あ、今日はお湯、張ったから……少しゆっくり、ね?」
立ち上がった鷹野に、雅は大人びた表情を浮かべた。
「……うん、ありがと」
こんなんじゃ駄目だ。
こんなんじゃ、心配をかけるだけ。
また、不安にさせるだけ。
「…どうして遅くなったか、訊かないの?」
気が付いた時には、口走った後だった。
止まらない。
雅は、困ったように眉を下げると、湯を沸かす火を止めた。
やっと、真っ直ぐに目が合い、鷹野の手がさ迷う。

