凱司にメールが入ったのは、22時少し前だった。
もう帰っている頃だと思っていた鷹野からの、少し遅くなる、というメール。
「…雅ひとりか」
過保護だとは思う。
思うが、1人で外に出てはいけないと言ったのは自分だ。
おとなしく従っている雅が、だんだん進む時計に不安を感じるのがわかっているだけに、凱司は、遅れている溶接工事に、ふと苛立った。
急かした所で、早まる訳もないだろう。
そもそも、無理を言ってねじ込んだ作業だ。
廃棄処分のトラックと共に、知らない顔2人は、帰した。
いくらだかは知らないが、宇田川の渡した封筒に、夕食代をつけて。
あとは、これだけだ。
凱司は、溶接の、直視できない光から目を逸らし、がらんとした店内へと足を向けた。
「どうかなさいましたか?」
「いや…鷹野がまだ帰れねぇだけだ」
スーツの埃を払いながら訊いた宇田川に、凱司はむっつりと答えた。

