開けたままのドアから、赤いTシャツに着替えた雅が顔を覗かせた。
デニム地のショートパンツから伸びる素足に、ハイソックスの跡がついている。
いつも灰皿の乗っている家具の、1番下の引き出しに、びっしり詰められたCDに、雅は目を丸くした。
「CD世代だからな」
その中から二枚抜き取り、中身を確認すると、雅にベッドを指差した。
「そこ、座れ」
くしゃくしゃなままのシーツも気にする事なくベッドに上がり、白いアザラシのぬいぐるみを抱えた雅を、凱司は諦めたように見やり、仕方ねぇ奴だよな、と、笑った。
3曲目で、ちょっと今のとこ、もう1回聴かせてください、と。
同じベッドに寝そべり、ファックス用紙に何か書き込む凱司の背中を叩いた雅は、早く早くとせがむ。
「あー?…ああ」
手元の、薄いリモコンで3曲目をもう1度頭からかけ直す。
「コピー曲だな」
「…あ……カッコいい…っ!」
べしべしと凱司の背を叩き、顔を赤くした雅に、凱司は顔を引きつらせる。
「なんて曲ですか!?」
「…痛ってぇよお前!! なに興奮してんだ!!」
ああ!ごめんなさい!と叩いた箇所を撫でさするが、再び聴こえた伸びの良い、空気を震わす高い声に。
ぴたりと動きを止めた。
「……あぁっ…」
たまらない、とばかりに、凱司の背に突っ伏した雅に軽く引き、凱司は振り落とすように起き上がって、雅の頭を叩いた。
「イくな馬鹿」
「だって…凄いんだもん…」
起き上がった凱司の膝に手をついて、深くため息をついた雅が、顔を覗き込み、もう1回、とねだるのを、凱司は引きつったままの顔で、目を逸らせた。

