「意外と見てるんだな」
確かに、雅に向けられた友典の、伏し目がちな視線には、好意的とは言い難い色があった。
ただ、それは雅本人が気が付く程ではなかったように思えたのに。
「だって、おんなじ目、してましたもん」
旦那さんがあたしと寝た事を知ったひとが…、あたしを見る目と。
「……お前、マジ余計なモンばっかり学んでるなぁ…」
呆れ半分、ざわめき半分の凱司は、灰皿寄越せ、と、息をついた。
「大丈夫だ。腹ん中までは解んねぇが、お前が気にした所で今更どうにもなりゃしねぇよ」
「“どうにもなりゃしねぇ”から可哀想なんじゃないですか」
あーあ、仲良くしたかったなあ、お兄ちゃん。と再びテーブルに突っ伏した雅は。
黙り込んだ凱司に、おしまい、とばかりに笑顔を向けた。
「…凱司さんが聴いてる音楽聴きたいです」
「あ?」
不自然なまでに変えられた話題に、凱司は苦笑した。
「ライブで演ってたやつ、聴きたい。最初の曲」
「最初…?」
凱司は少し悩み、煙草をくわえると、ああ、と目を上げた。
「ありゃ鷹野が作ったやつだ」
「ええっ」
「あれだろ、やたら速いヤツ」
あれ一発目にやると疲れるんだよなあ、と火をつけた煙草をくわえたまま立ち上がった。
「お前の部屋、CD聴けたか?」
「ううん」
曲って作れるものなんだ…と目をキラキラさせた雅は、鷹野さん凄いカッコいい、と頬を紅潮させた。
「なら、着替えてから俺んとこ来い。確かライブCDがあったはずだ」

