自宅まで送られた宇田川親子は、凱司の車が角を曲がるまで、見送るのが常だった。
「…友典」
「………」
今も、曲がろうとしている凱司の車を見つめたまま、父が息子を呼ぶ。
「雅さんにヤキモチですか?」
「…は……いや、そんな事…」
「では、嫌いですか」
真っ直ぐ前を向いたまま、淡々と問う父親に、友典は俯く。
「………好きじゃ、ない」
人差し指に嵌められた、クロム·ハーツ。
それを重く感じながらも、友典は、吐き出すように呟いた。
「…騙されて、るんじゃあ?」
「誰にですか」
「…あの女…の子に」
宇田川は、ちらりと息子を見る。
背ばかりは自分を僅かに越したけれど、まだまだ子供だ、と内心、ため息をついた。
「凱司さんが傍に置き、私が傍にいるのに、ですか?」
友典は俯いたまま、クロム·ハーツを握りしめる。
「だって、高1だなんて…」
「ははっ、“だって”は雅さんの専売特許ですよ」
毎日、ちゃんと見ていなさい、と笑いながら踵を返した父の背を見つめて友典は。
黙って従うかのように、後に続いた。

