「…パプリカって…美味しくないですよね…」
小さく呟いた雅の声は、友典の耳にも届いた。
パスタに付いてきたサラダに混じった、鮮やかな赤はプラスチックのようで。
雅の持つフォークの先に、ぺろんと乗っている。
「我が儘言うな」
「…ちゃんと食べるけど!」
なんで独り言を聞いてますか、と、呟き、雅は赤いパプリカを口に入れた。
とたんに何とも情けない顔をした雅を、横目に見ていた凱司の口の端が上がる。
「俺のもやる」
「いっ…いらなっ…ああ…っ」
投げ入れられた赤い切れ端に、雅はすがるように宇田川を見上げた。
「宇田川さん!凱司さんがお行儀悪いんですが!!」
「そうですね、凱司さんは昔からその系統が苦手ですから」
にっこりと、さらりと。
苦手ですから、の一言で言葉を止めた宇田川に肩を落とし、雅は友典に視線を移す。
が、こちらもまた、あからさまに視線を逸らされて。
雅は増えた赤いパプリカを、悲し気に見つめた。

