「あれほど………迂濶な触れ方をしてはいけないと……!!」
「…っごめんなさい!」
下がった2歩を友典に押さえられ、逃げ場を無くした雅は、ぎゅと目を瞑り、肩をすくめた。
「…親父、目立つ」
低く呟かれた声に、宇田川は諦めたようにため息をつき、遠巻きながらの興味津々な視線に、もうひとつ息をついた。
「…友典、あなたも凱司さんに会いたいですか?」
振り仰いで見た友典の、唇の端が僅かに上がった事に、雅は僅かに目を見張り、甘やかな笑顔を浮かべた。
「あたし、なんて呼んだらいいですか?」
宇田川さんがパパだから、お兄ちゃんですか? と、首を傾げてにこりと笑う雅に、友典は目を逸らせた。
「…宇田川、と」
「えっ、それじゃあ宇田川さんと区別が……」
「雅さん、パパ、は止めてください」
遠巻きな視線は、相変わらず興味津々なものだったけれど、誰も声をかけては来なかった。
中には、呼び出しの放送に驚いて駆け付けた加奈子と田鹿もいたけれど、顔を見合せるばかりで。
嬉しそうな雅と、ひと学年上の、怖い、と言われている友典とを、ただ見つめていた。

