たぶん恋、きっと愛




「ああっ!! 今何時ですか!?」


ふいに叫んだ雅が、宇田川の左手を取り、そこにある腕時計を覗き込む。

文字盤の向きが違ったのか、ぴったりと体を添わせた。


「ああっ……やだ…12時50分」


腕を抱え込んだまま、がくりと項垂れた雅を、友典は僅かにびっくりしたように振り返り、目を見張った。



「……いつも…こう?」


宇田川は、眉間にシワを寄せると、ため息をついて頷いた。


「雅さん……私の肘が…胸に当たってますが」

「あ、ごめんなさい。それよりあたし、行かなくちゃ…!!」


さらりと言葉を流し、宇田川の袖などはきちんと直してから解放した雅は、凱司さんに12時半って言ってあるんです、と泣きそうな目を向けた。



「大丈夫ですよ。私が居るのに連絡をしていない訳がないでしょう。そろそろいらしたと思いますよ」


呆れたように言う宇田川に、雅は一瞬、嬉しそうな顔をする。

が、それよりも、と。

にっこり唇の端を上げた宇田川の顔を見上げ、雅は誤魔化すように首を傾けて2歩、後ずさった。