雅の、住所が変わった事を始めに。
在学中の保護責任が、宇田川にあることを証明する書類を提示し、細々とした事務的な話を至極淡々と済ませた宇田川は、今後ともよろしく、と話を締めくくって立ち上がった。
雅は、何を思うのか、スーツの宇田川と、制服の“宇田川先輩”とを、ひたすら見比べ、不躾なほどに、友典の横顔を見つめている。
「行きますよ、雅さん」
ふいに肩に指先を置かれ、びくりと振り返れば。
可笑しそうに苦笑する宇田川が、さあ、と手を差し出した。
雅はそっとその手を取り、立ち上がると、宇田川の一礼に倣い、頭を下げ、ぎくしゃくとドアに向かう。
先に立った友典がドアを開け、無言で目を伏せるのを、雅は何だか怖いような気持ちで見つめて、足を止めた。
「………」
「雅さん、通ってやってください」
そっと囁かれ、我に返ったかのように雅は、慌てて友典の前を通過した。

