「…ひっ」
思わず一歩下がった雅を、後ろで受け止めたのは、先ほどの2年生。
ドアは閉められ、雅の両肩を支えている。
「え、なに…が、どう…」
式典の時にしか見掛けない校長と、いつも授業中に見回りに来る教頭、そして苦笑する宇田川と、背後の生徒を、ぐるぐると見比べた。
「雅さん、息子の友典です」
宇田川のその言葉に、雅は弾かれたように後ろを振り仰いだ。
「む…すこ、さん?」
「……宇田川…友典です」
堅く頭を下げた姿は、父親そっくりで、雅は胸を押さえて、深く息を吐き出した。
「そっ…くり…ですね」
「………」
友典はひどく無口な質なのか、表情ひとつ変えずに、父の隣へと雅を座らせ、その隣へ自分も腰かけて姿勢を正した。
「雅さん、審査が通りましたので、正式にこちらに、ご挨拶に参りました」
いつもの、クリアケースから紙を取り出す仕草を茫然と眺め、雅は反対隣に座る“息子の友典”をまじまじと、見つめた。

