たぶん恋、きっと愛



ざわざわと、いまだ夏休み気分で浮き足立っている校内を、ひとりで歩けば、時折掛けられる声に立ち止まる。

見事に日焼けした生徒や、髪の色が明るくなった生徒、化粧の濃くなった生徒など、様々な変化が、妙に楽しかった。



――1- A 須藤、1- A 須藤。至急、校長室に来るように――



図書室のドアに手を掛けた時、突然流れた校内放送に、雅の心臓は、止まりそうになった。


え、今…校長室? 職員室じゃなく? と、辺りをキョロキョロしても、知った顔は、いない。


「…何したの…あたし」

怒られるような事をしたかしら。
煙草は吸わないし、薬だってやらない。

ちょっと居酒屋でお酒飲んだけど、別に酔って暴れた訳でもない。


なんだろう。

あ、まさか宇田川さんと温泉に行ったのが見られてたとか。


まさかまさか、朝、凱司さんに送って貰ったのバレたとか。



…問題ない……よね?



まさか夏休み始めにあたしを買った人がどこかの学校の先生だったとか?





それはまずい…かな?、と僅かに青ざめ、雅はぶつぶつと頭の中で、反芻しながら、校長室へと歩いていった。