始業式も終わり、あらかたの宿題も提出すれば。
夏休み明けの学校などは、あとはお喋りしかない。
雅は時計を見つつ、凱司に伝えた時間よりずっと早い事を確認すると、図書室で料理の本でも借りようと、ひとり立ち上がった。
「雅!またね!」
「うん、部活頑張ってね」
相変わらずに明るい加奈子に手を振り、田鹿の席を見れば、まだホームルームが終わって10秒だというのに、もう口一杯に何かを食べていた。
苦笑混じりにバイバイ、と小さく手を振れば、田鹿は。
口をもぐもぐさせながら、雅を手招きした。
「なぁに?」
「ちょ、待っ……ぅぐっ…」
「やだ、大丈夫?」
何の気なしに、咳き込んだ田鹿の顔を覗き込み、背を撫でた雅に、隣に座る男子生徒が目を見張る。
何かを言いたげに、凝視する隣の席を、田鹿は手を上げて制した。
「すっ…ど…ちょっと待って、忘れてた!」
こっちも待て、とばかりに手を隣に上げたまま、ポケットを探った田鹿は、三枚のチケットを雅の手に乗せた。

