「脱がねぇと見えねぇだろ」
視線で、次、と言う凱司をそのまま見つめ、雅はわずかに目を逸らした。
「…お前、これ脱がしたら何があって、…大抵どうなるか、知らない訳じゃねぇよな?」
あくまで静かな凱司の言う意味に、黙って首を傾けた雅は。
でも、と呟いた。
「宇田川さん、きっと、あたしになんか、そうならないもん」
凱司さんも、鷹野さんも。
きっとならない。
「馬鹿。なるに決まってんだろが。あんなん本能だ」
指を掛けたジーンズのボタンで、ぴくりと動きを止めた。
「あたしなのに?」
「そりゃそうだろ。男なんてそんなもんだ」
「刺青見たいだけ…なのに?」
固い生地からボタンを外すのは意外と大変で、雅の指先に真鍮色のボタンが食い込む。
「お前がそのつもりでも、今まで我慢した奴がいたか?」
「……いないけど、あんまり刺青ある人、いなかったし…最初から…する気の、人だし」
宇田川さんは違うもん、と。
雅はようやく外れたボタンから僅かに覗いた薄墨色を指先でなぞって。
だってキスも…しなかった…ですよ? と、凱司の目を見つめた。

