「ここに、もう一匹、龍がいるから」
右足の付け根辺りを指差すと、再び手を頭の後ろに回す。
「見ていい。やってみろ」
雅は黙ったまま、凱司の顔と、引き締まった腹筋とに視線を行き来させ、ゆっくりとベルトに指をかけた。
和柄の布で出来たベルトの表面をなぞり、金属に指が触れる。
凱司は微動だにせず、黙って雅の顔を見つめていた。
「……あたし、怒られてばっかり」
「お前が下手な誘惑するからだろ」
雅の指が、布製のベルトを引いた。
「誘惑なんか…」
「してなくても、そう取れる動きをしてんだ、お前は」
ぎゅ、と引っ張り、穴から金属の留め具を外す。
「あたし、宇田川さんいっぱい触ったのとか?」
「宇田川じゃなきゃ耐えなかったと思うぞ」
左右に開いたベルトから手を離し、雅は、出来た、と凱司の顔を見た。

