たぶん恋、きっと愛




「…ふぅん…。俺、やだな」


つまらなそうに頬杖をついた鷹野が、雅の手付かずなカップを見つめ、煙草に手を伸ばした。


「私とて、何も今すぐ大人になれとは…思いません。…が、あんなに幼いままでは困ります」


静かになった廊下に、何か不吉なモノでも居るかのような気味悪さを感じつつ、宇田川もまた、胸ポケットから煙草を取り出す。


「…雅ちゃん、きっと宇田川さんは“足開かなくていい人”って思ったんだと思うよ?」


「………足、ですか」


「自分を投げ出してないと…精神的に生きていけなかったんだ。大事にしてたら、壊れちゃうからさ」

そうしなくても構ってくれる俺とか凱司はもちろん、宇田川さんとの距離の取り方にも混乱中なんだよ。


ゆっくりと煙を吐き出して、凱司のやり方は…たまに乱暴で強引だ、と咎めるように宇田川を見た。

燻らせる煙草に、宇田川もどんどん落ち着きを取り戻す。


「それでも…、やはり女性として、してはいけない範囲です」


「…ああ、それはそうだね。でもさ、俺、止めてきていい?」

すごく嫌なんだ、あの子が泣くのは、と切な気に笑う鷹野に、宇田川は、口をつぐんで。


……私も行きます、と煙草を押し消した。