「…キス、…ですか?」
一瞬で後悔したのか、雅は、ぎゅ、と目を瞑ると。
ごめんなさい嘘です、と小さく呟いた。
血の気を無くした雅の顔をまじまじと凝視した宇田川は、ふいに姿勢を正して自分の前を指差した。
「ちょっと雅さん、ここに座ってください」
おとなしく指定された位置ににじり寄る雅はすっかり俯き、ごめんなさい、と繰り返す。
「落ち着いてください。私が余計な事を言いました。申し訳ありません」
膝に手を置き、堅く頭を下げた宇田川に、雅は泣き出しそうな顔で唇を噛んだ。
「ですが、よりによってキスを求めるのは、いけません」
「…はい」
しゅんとしたまま頷く雅を真っ直ぐに見つめ、宇田川の目に複雑な色が浮かんだ。

