「…え?」
急に笑顔を強張らせた雅は、宇田川の目を見上げた。
手に持ったペットボトルを握りしめ、ひどく戸惑った顔で首を傾けた。
凱司は、怒るだろう。
余計な事を言うなと、あの綺麗な目を細めて、激怒するかも知れない。
「…好き、ですよ? 凱司さんも鷹野さんも」
それじゃ駄目ですか?と、雅は眉を下げた。
雅の揺れる目を、宇田川は何かを探るように覗き込む。
「あ、の…ごめんなさい、あたし、よく…解らなくて」
ぽつりと呟いた雅の切な気な声の響きに、宇田川は我に返った。
「……いえ、すみません、忘れてください」
笑顔が、消えてしまった。
この娘も、どうしたらいいのか解らないのだろう。
「鷹野さんも、凱司さんも好きだし…キスも……」
みるみる項垂れた雅は、ふと顔を上げ、泣き出しそうな目を宇田川に向けた。
「あの…宇田川さん、…ちょっとして貰えませんか? キス」
「………は」
宇田川は雅の真っ直ぐな目を見つめ返すと、決して甘やかとは言えないような、真剣な目に、ひどく戸惑った。

