「だって…着れな……」
「だってじゃねぇっ!」
「………だっ…」
ムッとしたように顔を上げた雅が、はたと動きを止めて。
小首を傾げるように、凱司を見上げた。
「……凱、司さん?」
「な…んだよ」
「刺青の…蛇。…ずっと腕通って……?」
雅の指が凱司の手首に触れ、なぞる。
「こう来て…背中通って…?」
つつつ、となぞりながら、凱司の周りを廻る。
「…身長いくつ……肩遠いですね……」
「……お前……の…話に脈絡ってもんはないのか!! 鷹野!さっさとコイツになんか着せろ!!」
声を圧し殺して笑っていた鷹野が、弾かれたように声を上げて笑う。
「はっ…ははは!雅ちゃん雅ちゃん、そりゃ駄目だ!ガイが憤死するからおいで!」
目尻の涙を指先で拭きながら、鷹野が手招いた。
「…あの、この蛇…ずっと気になってたもんだから…つい」
ごめんなさい、と凱司を見上げるが、当の凱司は雅を見ずに、深くため息をついた。
「いいから…なんか……着てこい」
「ふっ……く…ははは!雅ちゃんおいで!それ、洗って乾かすから貸してごらん」
よほど愉しいのか、笑いの止まらない鷹野は、雅の手から濡れた服を、取り上げた。

