雅が、にこにこと出て行った後の部屋のテーブルに、宇田川はクリアケースの中身を並べた。
仕方なく取った部屋ではあるが、それなりに静かで、宇田川はどこかほっとするのを感じていた。
ひとまず、凱司に連絡をしなければならない。
不測の事態で、帰りが遅くなることを伝えなくては。
それから、息吹の病院へ連絡。
抜糸も済んだ息吹をもう1日預かってくれるよう頼まなくては。
そして今日終わらせる予定だった、様々な、連絡。
契約に基づいた、色々なこと。
宇田川は、携帯を手に取り、思わずため息をついた。
そんな事は、どうにでもなる。
問題は、雅が、凱司の大事にしている娘だということだ。
それはもう、凱司が抱くことすら出来ないほどに、扱いあぐねている特別な娘と、今ここにいるという事実を伝えなくてはならないという事、だ。

