「よ…かった。鷹野さんがこれ以上辛い思いするのは…」
ほっと息をついた雅を、ついまじまじと見つめてしまった。
「何故、一樹さんが辛いと思ったんですか?」
青に変わった信号に、前を向いたまま静かに訊けば、雅が顔をこちらに向けたのが判った。
「だって“お兄さん”なんですよね?」
ああ、この子は子供じゃない。
息吹がそうであるように、逆もそうなのを感じ取っている。
ただ。
色々と推し測り過ぎている。
正解と限る訳でもないのに。
「そう、ですね。確かに血の繋がった兄弟です」
コンビニに寄りますが一緒に行きますか?それとも私が何か見繕いましょうか?
と、この話は終わりです、とばかりに宇田川は。
先に見える青い目印を指差した。

