「雅さんの事も、息吹の事も、一段落つきましたね」


髭をひねり、宇田川が。
鷹野の複雑そうな目を覗き込んで、穏やかに微笑んだ。


「…俺、どうも凱司の手の上で泳がされてる気がしてならないよ」


くすくすと笑う鷹野も、これで息吹がちゃんと働ければなあ、と、大仰にため息をついた。



「お前がアイツの手ぇ潰したから暫くは無理だな」


「だって腹立ったんだもん」


「宇田川が来なかったらどうするつもりだったんだ」

「来てくれるって思ってたし」


にっ、と笑う鷹野に、凱司も宇田川も、思わず苦笑した。


「では何かする時にはもう少しマメに連絡を頂ければ」

捕まってからでは大変ですし、雅さんもひどく心配するでしょうから、と、続けた宇田川に。


鷹野は素直に頷き、チョコレートの箱を抱えたまま眠ってしまった雅を。

愉しそうに、見つめた。