たぶん恋、きっと愛



「…これ以上、あたしが堕ちないように支えてくれようと…してくれたのに、…か…勝手にドキドキして……」


綺麗な色の凱司の目線は、いつも真っ直ぐに突き刺さる。


「……とにかく、怖がってごめんなさい…」


困ったように、切ないように。

ちょっと小首を傾げた雅を、睨み付けんばかりに見つめて。

凱司は、つと、その長い人差し指を、雅の喉に突き当てた。




「…痕、付けられてんぞ」

「…え?」


触れた箇所は、喉の少し上。



「……鷹野っ!!!」

「はいはい」


指をそこに押し当てたまま。
目は雅を見据えたまま。

知らん顔でコーヒーに口を付け、置きっぱなしのクロム·ハーツのリングを手に取り眺めていた鷹野は、軽い返事とは裏腹、僅かに緊張を走らせた。



「……怪我人が何してやがる」


見えるとこに付けんじゃねぇ、と、鷹野の予想していなかった台詞を静かに吐いた凱司は。

ふいっと雅から視線を外し、目の前の書類を何枚か束ねた。