確かな反応に、独占欲が満たされた。
この部屋から出さなければ、満たされたままかも知れない、などと思う。
指を雅の頬に伸ばす。
触れるか触れないかの所で、されたドアノック。
鷹野はそのまま指を引き、諦めたようにため息をついた。
「凱司が呼んでる。行こうか」
覗き込むように笑顔を向ければ、雅は頷き、鷹野の手を取って立ち上がった。
遠慮がちにドアが開き宇田川が顔を覗かせる。
「一樹さんのサインが必要なんですが、今、よろしいですか」
宇田川は、鷹野に丁寧に声をかけると、雅に目を止めた。
「…雅さん……は、大丈夫そうですね」
宇田川は、その目に僅かに悼ましそうな色を浮かべて、それでも安心したように、頷く。
「…嫌な時は、嫌だと言っても凱司さんは…あなたを投げ出したり、しませんよ」
諭すような優しい口調は、雅をふわりと微笑ませた。
「…はい、色々と心配して頂いて…ありがとうございます」
すっきりと綺麗に礼をした雅が妙に大人びていて。
鷹野は少なからず意外な思いで、見下ろした。
