何度も、何度も、柔らかく触れさせるうちに、鷹野の脳裏をよぎる凱司の影。
きっとこうじゃなかった。
凱司のキスは、きっとこうじゃない。
沸き上がる、独占欲。
雅の、きゅっと寄せられた眉は、これ以上はないくらいに官能的で。
15の少女のしていい表情ではない気がした。
「…好きだよ」
鷹野の左手が、重ねた二枚のカットソーの裾から滑り、レース地の上から包み込むように触れて初めて、雅は僅かに身動いだ。
「だっ……め…!」
痛々しくて。
いたたまれない。
強く抵抗することもなく、ひたすらに耐えた雅が。
「…そうだね、キスだけの約束だったっけ」
ようやく薄く開いた雅の目元に、再び唇を落として、鷹野はあっさり手を引き、体を起こした。
「おしまい」
おどけたように声を掛ければ。
雅はほっとしたように、眉根を和らげて、ゆっくりと目を閉じてから、開けた。

