「で…も…!」
声は、ひどく小さかった。
避けた髪を耳にかけ、指先をうなじに滑らせる。
首筋で再び音を立てれば、はっきりと、雅の体は仰け反った。
「……ぁ…」
鷹野の耳元で聞こえた小さな声は、喘ぎとも吐息ともつかない、甘い響きを含んでいた。
「好きだよ」
雅の腰を抱いて。
鷹野はそのままくるみ込むようにして、雅の体を押し倒した。
「好きだよ」
何度も繰り返す。
押し倒された事に気が付かないのか、雅は固く目を閉じたまま、喉を這う舌の感触に、震えていた。
鷹野が唇を離せば、黒い髪が雅の頬にかかる。
微かに震える雅の様子を見つめ、それでも泣いていないのを確認すると、そのまま、そっと。
唇をついばんだ。

