「…………ため、す?」
ベッドの縁から頭を上げて、思案する雅は。
やっぱりどことなく抜けていて、ズレていて。
「俺、あんまり動けないから、ちょっとこっち上がって」
ゆっくり起き上がった鷹野の示す場所に、雅は躊躇いながらも腰掛けた。
「キスを、ですか?」
「キス、だけだよ」
「…え、鷹野さんと?」
「…他に誰とすんの」
既に右手は雅の背に回っている。
軽く額に口接ければ、今度は明らかに、雅の体が硬直した。
「ちょ……待っ…」
「…駄目」
額から、瞼に唇を滑らせ、自然に目を閉じさせる。
睫毛を唇に感じながら、どこではっきりと抵抗するのか、どこまで無理を強いるか、鷹野は割と冷静に、計算していた。
左手は、伸ばすと傷が痛む。
鷹野は右手だけで、そっと雅の頭を後ろから支えた。

