「ああ、そうだな、15だそうだから」
濡れて脱げないブーツに悪戦苦闘の末、ようやく立ち上がったガイは、不機嫌そうに髪をかきあげて、雅を見下ろした。
「…なんだお前」
くい、と雅の顎に指をかけ上向かせ、唇ムラサキじゃねぇか、と呆れたように呟く。
そんなガイと、大人しく上を向いたままの雅とを、信じられないといった感じで見比べていた黒い髪の青年は。
「ほんとだ、肌真っ白になってる。シャワーしかないけど、おいで」
にっこりと微笑んで、雅を手招いた。
オジャマシマス、と小さい声で言うも、視線はさっさと歩き出したガイと、手招きする男とをさ迷う。
「……笠島、さん?鷹野さん?」
「うん?そう、俺が鷹野さん。鷹野一樹さん。なに、あいつ、名前も言わなかったんだ?」
くすくす、と愉しそうに笑う鷹野にちょっと小首をかしげ、雅はぎこちなく微笑んだ。
「君は?」
「……須藤、雅です」
「そう。よろしく、雅ちゃん」
バスルームのドアを開け、タオルを出すと、鷹野は軽く雅の頭を撫でてから。
ドアを、閉めた。

