たぶん恋、きっと愛



徐々に落ち着いてきた心拍数と恐怖感とに、深くため息をついて。

凱司は全てを振りきるように、きつく髪を掻き上げ、そのまま後ろで縛り上げた。




「俺には、ガキ過ぎる」


身長差40cm。
年齢差13。

戒めるようにはっきり呟くと、肌に貼り付くようなシャツを脱ぎ捨て、そのまま部屋を出た。


裸でリビングに戻れば。

宇田川が静かにコーヒーを飲んでいた。



「おはようございます。少しはお休みになれましたか?」

「…来てたのか」

「ええ、凱司さんにこれをお返しせねばと、友典から預かってまして」

今朝、すっかり忘れてしまって、と照れたように笑う宇田川は、綺麗にハンカチの上に乗せられた、銀色のクロム·ハーツリングを滑らせた。



「ああ、別にやっても良かったのに」


カップを洗っている雅の背後の引き戸は、洗面台と洗濯機、バスルームへと繋がっている。

その引き戸をスライドさせて、洗濯機の上へシャツを投げ捨てた凱司は。


洗ったばかりのカップを取ろうと、雅の背後から手を伸ばした。