ゆっくりと近付く睡魔に、凱司の意識は夢と現実を漂った。
雅が
雅を
雅に
背中が沈むような倦怠感と共に現れた雅の姿は、最初に捕らえた時のようにずぶ濡れで、泣いていて。
知らない誰かに、抱かれていた。
雅
雅
駄目だ。
お前はもう、そんな思いしなくていい。
泣くな。
手を伸ばしても届かない。
大丈夫だと、平気だと、呟きながら泣く雅に、手が届かない。
心配しないで。
壊れちゃったら、捨ててね。
泣きながら笑う雅を抱く男が、息吹に変わる。
血だらけの唇で覆い被さり、無抵抗の雅を笑いながら犯す。
捨てて。
捨ててくれれば、怖くない。
気味の悪いほどに繰り返されるフレーズに堪えられなくなった頃。
雅を抱くのは、自分になっていた。

