たぶん恋、きっと愛





「それ…俺が抱いて寝るのか」



現れたぬいぐるみは、昨日、宇田川が来たときに雅が部屋で抱えていたものだ。

なんとなしに、その直前に無理にしたキスを思い出して、凱司は。

…さすがに怒りそうだよな、と、ちらりと鷹野を見やった。


チョコレートを眺めながら、煙草に手を伸ばした鷹野は、本当なら一晩入院した方が良かったような、怪我だった。

それをおして帰って来たのは、ただ雅の為。


雅が泣くのは嫌だから。

ただ、それだけの理由。




「…なに、欲しいの?」

煙草に火をつけた鷹野が、胡散臭げに、ひとくち吸った煙草を凱司に差し出した。



「…あ?…ああ」


曖昧な返事をした凱司は、その煙草を受け、雅からアザラシを受け取ること無く、そのまま部屋まで持ってこい、と煙草をくわえた。



「俺が吸い終わるまでに雅ちゃん戻って来なかったら襲撃するから」


あながち冗談でもなさそうな鷹野の目に肩を竦め、煙を吐き出した。