「何してくれちゃってんだよ。雅ちゃん固まったじゃないか」
離れたソファーから鷹野が苦笑まじりに文句を言うけれど、凱司は知らん顔で立ち上がった。
「俺、寝るわ」
疲れた、と両手で金髪を掻き上げて。
いつまでも止まってんな馬鹿、と雅の頭を軽く叩いた。
「あっ…アザラシ!」
敢えてチョコレートの感想を言わない雅は、思い出したように立ち上がった。
「アザラシ、お土産、なの。寝るとき抱き心地いいから……」
テーブルの脚に自分の足をぶつけ、よろめきながら、待ってて、と走り出す雅を無言で眺めた凱司は、ため息をついた。
「いつまで経ってもあいつの話は脈絡がねぇよな」
「バタバタして渡しそびれてたからなあ」
ソファーから起き上がりながら鷹野は。
凱司居ないとき、水族館に行ったんだ、と一応の説明をつけた。

