たぶん恋、きっと愛




「や、あの、話…続けてください」


そのままチョコレートの箱を開けようと、また貼られていたシールに指を掛けながら座った凱司に、声をかける。


「もう終わった」

「…ほんとに?……ああっ」


ぺり、とやっぱり表面の剥がれたシールに、雅の悲痛な叫びが上がった。



「……うっせぇな!いいんだこんなもん破けば!」


箱の切れ目に爪を立て、横に引けば、シールは綺麗に真っ二つ。


「うぅ…」


フタの外れた箱から、乗せられたシートを避けると、ふわりと甘い香りが漂い、がっかりしたのも束の間、雅はみるみる目を輝かせた。



「1個、食べていいですか?」

「2個でも3個でも行っとけ」

「ああっ…でも勿体無い!!」



眺めるだけ眺め、なかなか手を出さない雅に苛ついたのか、凱司はおもむろに指を伸ばした。


親指と中指とで挟まれたチョコレートは、白い筋の入った、小さな丸いもの。

それを、雅の口に押し当て、反射的に開いた唇から、指先までを突っ込んで。


そのまま、自分の指に僅かに溶けたチョコレートを、舐め取った。