「お前がここに暮らすのが長くなるが……いいのか?」
「そこも含めて、…頼む」
雅は、二人の真剣な様子に、それ以上傍には寄らずに、ミルクティを並べたテーブルにまで戻った。
チョコレートの包装を剥がしてみようと、恐る恐るシールに爪を掛ける。
「……ぁ…!」
薄く表面だけがペりりと剥がれかけ、慌てて押さえつけた。
情けない表情で、ソファーの方に視線をやれば、無言でこちらを見ていた二人と、目が合う。
「……なんで見てますかっ」
ぷいっ、と慌てたように頬を染めた雅は、チョコレートの箱を押しやり、並べたミルクティを冷蔵庫に入れようと、立ち上がった。
「きっとシールがうまく剥がれなかったんだよ」
怖いくらいに真剣だった目を和らげた鷹野は、愉しそうに笑い、手にしたストローを容器に突き刺した。
「手でも切ったかと思ったじゃねぇか。妙な声あげんな」
テーブルに近付いた凱司は、呆れたようにチョコレートの箱を手に取り、紙の重なった部分から器用に指を挿し入れて、くるりと、包装紙を外した。

