鷹野はソファーに寄りかかったまま、凱司に片手をあげる。
「熱は引いたのか」
「薬飲んだから、今は平気」
「息吹も熱出してたぞ」
「だろうな、指落としてやろうと思って刺したもん」
一瞬、目が憎々し気に歪むけれど。
ミルクティを持って来た雅に、その色をあっさりと消した。
「凱司さんが、いっぱい買ってくれました」
にこにこと笑う顔が、やっぱり一番癒される、と。
鷹野は、差し出されたリプトンのそれを受け取った。
「お前、どうしたい?」
言葉少なな凱司の声に、ストローの袋を取り外す鷹野の手が一瞬止まった。
睨み付けるほどの強さで凱司を見据えた目、は。
不意に力無く、伏せられた。
「…助けて、欲しい」
苦しいような、笑っているような、それでもはっきりした声でそう言うと。
鷹野は眉を寄せて、唇を噛み締めた。

