「はいはい、怪我人は食べたら寝る。あんたはこっちで宿題」
テーブルに近付き、鷹野の前に皿を押しやると、おろおろしている雅の手を引いた。
「一緒に住んどいて妬かないでもらえますか」
何気なく見たつもりの、繋がれた手を、わざわざ見せ付けるように持ち上げた佑二に、鷹野はにやりと笑った。
「マーキング書き換えないでくれるかな」
「男の本能ですから」
黙ったまま、鷹野と佑二とを交互に見ていた雅が、そっと手をほどいた。
「冗談だよ、あんたになんか手ぇ出したら命の危機じゃないか」
くくく、と可笑しそうに笑う佑二を見上げた雅は、不安そうに眉を下げて。
ふと、時計を見上げた。
「…凱司さん……遅いですね」
無理に流そうとしたのがバレバレなこの流れに、鷹野は笑いをこらえ、佑二は。
可愛いんだけどねぇ…と、呆れたように見下ろした。

