鷹野は、新しくコーヒーを淹れる雅と、ソファーの辺りの床で新聞とハサミを散らかし始めた佑二とを見比べ、目を細めた。
安心したように笑顔を見せる雅を手招きし、内緒話があるような仕草をすれば。
なあに?とばかりに呆気なく、その顔を近づける。
「好きだよ」
小さく囁いて、その耳たぶにキスをする。
真っ赤になって耳を押さえ、飛び退いた雅に、思わず笑いが込み上げた。
額にキスを。
頬にキスを。
耳にキスを。
俺に恋をしなくても構わない、と、鷹野はくすくすと、笑った。
「……なにしてんのあんた」
「やっ…あの!…キっ…いえっなっ…なんでもなっ……!!」
白けた様子で、じっと、真っ赤な雅を見ていた佑二は、鷹野の愉しそうな含み笑いに合点が行ったのか、呆れたように苦笑した。
「マーキングですか」
「一応しとかないとね」
不敵に笑った鷹野の目付きが、思いの外真剣で。
佑二はゆっくりと哀れむように、雅を見つめた。

