ゆっくり足先から床に下ろされた雅は、大きく息を吐き出して。
怖かったぁ、と照れたように笑顔を見せた。
「お前…あんな暴れる奴があるか!」
「だって床、すっごい遠かったですもん!」
あり得ない!
凱司さんの視界、あり得ない怖さです!
と、本気の面持ちで訴えた雅は、へなへなと椅子に座り込んだ。
「…………でも、後でもう一回やってください」
思い出したらちょっと楽しかったのか、雅は悪戯っぽく上目遣いで凱司に頼んだ。
「佑二さんも一回」
「え、俺はいい」
「でも絶叫マシーンより怖いですよ?」
「尚更やだよ」
くく、と笑った佑二は、疲れた様に椅子に座った凱司が、意外にも雅に振り回されているのが面白かったのか、先ほどまでの不機嫌をすっかり忘れ、いつまでも笑っていた。

