たぶん恋、きっと愛




「うわ…豪快に連れて来ましたね」

「顔見たら急に面倒になった」

「おーろーしーてぇぇぇぇ」


掴まる所のない雅は暴れようもなく、必死に凱司のシャツをたくしあげて掴んでいた。

腰に入った刺青は、何だかは解らないけれど、和彫に近い、曲線の綺麗なものだったはずだ。

不安定な体勢は、そんな綺麗な曲線も目に入らずに、雅は落ちる恐怖に固く目をつぶった。



「ちょっ…だめっ…いやあっ…怖い怖い怖い!」


下ろそうと体をずらしたのが不味かったのか、雅は思い切り凱司の首にかじりついた。



「…はなせっ」

「いやっ無理!落ちます!足つかない!」


首を絞める勢いで抱きつく雅の髪が口に入り、耳元で叫ばれる声に、凱司は体勢を崩す。



「暴れんな馬鹿っ!」


本当に落としそうになった体を慌ててしっかりと抱え直した。


「……可愛いんだけどねぇ」

ぽつりと冷静に呟く佑二の目の前には、首にかじりついたまま両腕で抱えあげられた、雅。



「またパンツ見えてるし」


こんな視界の高いお姫様抱っこは貴重だよね、と。

佑二は妙に冷静に呟いた後、くるりと背中を向けて雅を隠した凱司の慌てように、笑った。