「仕事休むって連絡しなきゃならないから、8時半に起こしてくれる?」


「はい」


元いたソファーに戻ろうとした鷹野を、雅は真っ赤な顔でその袖を掴んで引き留めた。


「あの…っ、ごめんなさい、もう、部屋でちゃんと寝て…ください」

「…そう? もう寂しくなくなった? 起きてきたら佑二に抱かれて泣いてるとかない?」


「抱っ…!?」

「ちょっと朝から何不穏な事言ってるんすか」


内心ちょっと冷や汗をかいた佑二も、辛そうな鷹野に手を貸した。


「俺、ずっと傍に居たのに一樹さん帰って来たら、こっち見もしねぇんですよ。立つ瀬ないっすよね」

あ、ピアス外しといた方がいいですよ。


と、言葉を続けた佑二に、鷹野は、ははっ、と声を出して笑った。


「俺、愛されてんなあ」


くすくす笑った鷹野が、痛そうに顔を歪め、雅を呼び寄せた。


「雅ちゃんも、ちゃんと食べなね? 凱司起こすときには、決して体に触れないこと」

「……はい」


「じゃあ、後でね」


佑二の目の前で、雅の額にキスを落とした鷹野は。


いたたた、と屈めた体を起こして笑った。