雅は声も出ないのか、ただぼろぼろと涙を溢しながら、鷹野にしがみつく。

立てた膝の間に収まって、ひたすらにシャツを掴んだ。


「………った、良かっ…た!!」


声を上げて泣きだした雅の髪を撫でながら。

鷹野は、ごめんね、と何度も繰り返す。



「雅、どいてやれ。傷が開く」

「き…ず?」


再び慌てたように起き上がった雅は、突然、鷹野のシャツのボタンを乱暴に開け始めた。



「まっ…待って待って雅ちゃん!ちょ…っ…ガイ助けて!襲われるぅ!いいぃったたたた!」


笑いすぎて痛みの走る脇腹を押さえた頃には、すっかりボタンは外されて。

素肌と包帯とが、あらわになっていた。



「お腹、…怪我……したんですか!?」


唇を噛んで、包帯を見つめた雅は、ひどく真面目な面持ちで、包帯にそっと手を当てた。



「違うよ、大丈夫。」


だって、だって包帯…と、しゃくりあげる雅が、凱司を恨みがましく見上げた。