「佑二、押し付けて悪かったな。手ぇかかったろ?」
苦笑混じりに、そう言った凱司は。
でもなんでこうなるんだ、と密着した雅を指した。
「や…なんかもう、いっぱいいっぱいになってたから…面倒になって……」
目を泳がせた佑二の頭を撫でて、ほんとありがとな、と呟いた鷹野の声に反応したのか。
ぴく、と雅の睫毛が震え、ゆっくりと目が開く。
「…あ、起きた」
綺麗な切り傷だとは聞いたけれど、縫わなければならなかった傷だ。
鷹野は引きつれた痛みに眉を寄せながら、雅の乱れたスカートの裾を直そうと、指を伸ばした。
はっ、と慌てたように体を起こした雅は、まず凱司を見、鷹野を確認して目を見開く。
「遅くなって、ごめんね?」
気まずそうに微笑む鷹野に、雅は息を飲んで、無言で飛び付いた。
「…………っ!!!」
「うわ、ありゃ痛え」
思い切り後ろに押し倒された鷹野が、悲鳴を飲み込んだように見えて。
凱司は笑いながらも顔をしかめた。

