凱司は、再び携帯を確認した。
今さっき届いたメールには、件名に病院名のみが記されていて、本文は、なかった。
送信者は、宇田川。
その後すぐに掛かってきた、電話。
両者共に、命に別状はありませんが、来られますか、と。
宇田川の簡潔な声に、さほどの緊迫感はなく、ひとまず安心した。
けれども。
どう雅に言ってやればいいのか解らなかった。
怪我をしたと伝えれば、雅は心配するだろう。
ただでさえ顔色を無くしたままだったのに。
息吹と会わせたく、ない。
だから、連れては行かない。
待つだけは辛いだろうな、と思いつつ、大丈夫だと言ってやるしか、なかった。
後は、佑二がうまく気を逸らせてくれているといい。
愛想はないが、優しさでは鷹野に引けを取らない男であるし、雅は不安を隠せる質じゃない、のだから。

