「…ごめんなさい、も、泣かないです」
一度大きく息を吸い込んだ雅は、その息を吐き出しながら、しっかりした目で、佑二に微笑んだ。
「……俺には、何がどうなってんだか解んないけど……」
要するに一樹くんが何かに巻き込まれた感じ?
玄関で小さく座り込むままに、雅は多分、と呟いて。
佑二は、小さく息をついた。
「……不安な時は人肌、って言うよね」
「…え?」
隠れた目はやっぱり見えにくいけれど、口元は微かに笑みを型どる。
「誰かとくっついとくのが一番落ち着くらしいよ?」
す、と体を寄せた佑二の、半袖から出た素肌が、雅の腕に触れた。
「少し、こうしててあげてもいいけど」
あんたの宿題やるのに、そんな不安なままじゃツラいだろからねぇ、と。
佑二は膝を抱え直し、肘から上を、密着させた。

