いつものように、女と遊んでいるならばいい、と凱司は刻まれた新聞を眺めながら思った。


鷹野に特定の人物は居ない筈だが、あの顔立ちと仕事のせいで、女をよく引き寄せる。

連絡なく遅くなることは、今まで無かったけれど、出来ればそんなことだといいと、思う。


だが凱司には。

鷹野は息吹と接触した、という確信がある。

鷹野を待ち伏せたか、鷹野が追ったか、どちらかだろうと思う。


全ての負債を肩代わりした鷹野に、これ以上何の用があるんだ、と。

凱司は苛立たしげに。


黙々と新聞を捲る雅と、もう深夜になろうかという時間に、2週間分の新聞を抱えて来た佑二とを、見やった。



血の気のない、不安気な顔。

気が紛れるかと思ったんだが…ちっとも紛れてねぇな…、と。


泣きそうに噛み結ばれた雅の唇を見つめ、凱司は立ち上がった。


たった今、青く着信を告げた携帯を手に。