「やめてやめて!もう駄目!触られる前からくすぐったっ……あああぁ!はははは!」


刺青に添って、というよりも、ただくすぐったそうな箇所を指先で撫でた雅も。



「じゃあ!絶対触らないですから、見てもいいですか?」


手を体の後ろで組み、上目遣いで笑う。

雅は、緊張していた事など忘れたかのように、にこやかに小首を傾げた。



「うん、見るだけにしてくれると助かる」


鷹野はいまだ、息を弾ませたまま、眉を下げて。

落ちたタオルもそのままに、長い髪を両手で掻き上げた。




「あ、そうだ」


鷹野は。
自分の首筋に光る細いネックレスを外して、片手でタラリと雅に差し出した。

両の手のひらで受けようとした雅の手首を掴んで、ゆるく引き寄せる。



「金属アレルギーは?」

「え、解んない、けど、ないと思います」

「そう、良かった」



正面から雅の首筋を掠り、髪に引っかけないよう避けながら。


「…つっ…付けたら、見えないじゃないですか!」

「鏡って物があるけど?」



鷹野の指が、首筋をなぞる。

至近距離で笑う鷹野と、やわやわと触れられる感覚に。


雅の目が、つと泳いだ。