「だっ…て、鷹野さん、鎖骨が綺麗なんですもん…っ」


「鎖骨!?」


呟いた内容に、鷹野は声を上げて笑い出した。

濡れた髪は、乾いているときよりも黒く、素肌によく映える。




「さ、わっていいですか?」

「鎖骨もどうぞ」


首を傾けて、体の左側から髪をよけて。

左鎖骨の下辺りから、細い、黒い、蛇。
左腕をくぐって背中の肩胛骨と右肩を通り、右腕に巻き付いている。


鷹野の髪をおそるおそる指で避けながら、なぞっていく雅は。


急に鷹野の肌が粟立ち、身動いだ事に驚いて、指を離した。



「雅ちゃ…思いの外くすぐったい!」


なぞられた箇所を乱暴に擦り、体をよじって笑う鷹野に、つられて雅も、笑い出した。



「少し我慢してください!」


「無理無理無理! 雅ちゃん、やわやわ触りすぎ!」


「じゃあ強く触りますから!」

「ええええぇぇ!?」



目じりの涙を指で拭う鷹野が身構える目の前で。


雅は、人差し指をゆっくり近づけた。