たぶん恋、きっと愛




雅は、いつになく不自然に、目を逸らし続けていた。


理由は、解る。

シャワーを終え、どうせ体の模様をなぞられるのだから、とシャツは着ないで出てきた。


長い髪を、雫の落ちない程度に拭き、雅の淹れたアイスティーに口を付けて。



俺、凱司みたいに裸でウロウロしないからなあ…、と鷹野は、面白そうに、雅を見やった。


この前淹れたアールグレイが気に入ったのか、雅は。
どこかでティーパックを買ってきていた。



「雅ちゃん?触っていいよ?」


頭から濃灰色のタオルを被り、テーブルに片肘をついてそう言えば。

雅は、ぎゅっとこぶしを握り締めた。



「たれぱんだ、居なくてごめんね?」


俯いたまま目の前にまで来た雅を覗き込めば、すっかり緊張してしまっている目と、ぶつかる。



「み…雅ちゃん、緊張しすぎ」

何か重大な覚悟を決めたかのような思い詰めた目が、思わず笑いを、誘った。