譲り合いをしても仕方ない、とばかりに。
じゃあ、そうしようかな、と笑顔を見せた鷹野に、雅は。
あ、と声を上げた。
「刺青! 見せてください!」
期待に満ちた目に、思わず鷹野は吹き出した。
「タトゥー好きだねぇ」
「だって、綺麗なんですもん。この前ちょっと見えた気がした時から、気になってました」
きらきらと見上げて来る雅の目が、鷹野の喉元から下辺りをさ迷う。
「見えないようにしてたつもりだったんだけどな」
くすくす笑いながら、背中を向け、一気にシャツを脱ぐ。
「今は汗かいてるから、ここで終わり。あとは出てからね」
「ええっ」
「だって雅ちゃん、触るじゃんか。凱司の体、指でずっとなぞってた」
あれは面白かった。
と、鷹野は悪戯っぽく笑うと、長い髪を無造作にかきあげた。

