たぶん恋、きっと愛



どうして俺のじゃないんだろな、と。

目の前の少女を見つめながら、鷹野は自分の長い髪を、指先でかきあげた。



「ペンギン、好きなの?」


水中での素早い動きのペンギンを目で追いながら、ガラスに張り付いたまま動かなくなった雅に、声をかけた。


「好きだけど、近くで見たら、ちょっと目が怖いかも」


困ったように振り向いた雅が苦笑する。


「ペンギン、ちゃんと居ましたねぇ…この前はどうして見つからなかったんだろ…」


鷹野に向き直って首を傾げる雅の肩に手を置き、行き交う人とぶつからないよう引き寄せながら、鷹野も苦笑した。


「柳井センパイの告白があったから、ここ通らなかったんじゃない?」

「……あー…そうかも知れません」


途端に、しゅんとした雅の右手を躊躇いなく取り上げて手を繋ぎ、鷹野は。

いつもの、穏やかで妖艶な笑顔を、見せた。